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同じマイナスでも、八〇年代後半はバブル景気、九〇年代前半はバブル崩壊と、景気の状況は様変わりしており、マイナスの意味は一様ではない。
ただ、CPIはWPIのいわば〃川下〃指数で、WPIほど景気に敏感ではなく、WPIより遅れて変化するうえ、変化率もWPIほど激しくない。
CPIには人件費などが直接含まれるサービス価格などが入っているためである。
また、家計消費の中身は年々変化し、重要度が低くなる品目もあるので、五年ごとに対象品目を洗い直している。
CPIの戦後の年間上昇率を見ると、第一次石油ショック以前の高度成長期は六%台の上昇は普通で、高成長・高インフレの傾向があった。
ところが七三、七四、七五年度は日本列島改造ブム、第一次石油ショックと相次ぐ続く猛烈なインフレが発生、各一五・六%、二〇・九%、一〇・四%の二ケタ上昇となった。
消費者物価指数はどう動いてきたか〜一方、CPIは家庭が購入する消費財、指標である。
当然、CPIの伸びが低いほど国民生活は安定することになる。
CPIは代表的な五八〇品目の価格を毎月調査し、卸売物価と同様に九五年を基準年(一〇〇)として指数化したもの。
CPIは総合指数のほか、食料、住居、光熱・水道など主要品目ごとの指数もとっている。
同時に、天候などで価格が大きく変動する野菜などの生鮮品は、CPIの基本的な動向を見誤らせる可能性もあることから、生鮮品を除いた総合指数に注意を払うのがポイントである。
これをコア(核)上昇率、またはコアインフレなどと呼んでいる。
しかし、その後、経済が低成長期に入り、第二次石油ショック以降は石油価格も低下し続けたことから、物価全体も安定的に推移した。
とくに、八五年からの円高は、輸入物価の低下を通じて物価全体の引き下げ効果を上げたことから、八六年度から八八年度の三年間は一%未満という〃好成績″を収め、日本は先進国の合い言葉である「インフレなき成長」を最も実現した優等生になった。
ところが、この時期の「インフレなき成長」は、低金利を背景にした「金余り」現象によってお金が土地や株に向かい、極端な資産インフレを起こしたのと表裏の関係にあり、優等生とはいえないことが後でわかった。
バブル崩壊後は、長期不況のデフレ経済に陥ったため、やはり一%台以下の低水準が続いた。
九五年度にはマイナス〇・一%と《統計開始以来初めてのマイナスを記録した。
CPIとWPIの直接的な関連は薄いとされているが、対照的な点は高度成長期、低成長期のいずれの時期においても、CPIは毎年確実に上昇してきた点である。
CPIの九七年度の総合指数は一〇二・三であり、第一次石油ショック直後の七五年度の一・八倍になった計算だ。
これに対して、同じ期間のWPIは一・一八倍と、わずか一八%しか上昇していないのである。
これでわかるように、WPIとCPIには大きなギャップがあり、しかも年々このギャップは拡大する傾向にある。
原因はさまざまだが、WPIは円高メリットを反映しやすいこのように構成品目が大きく異なり、価格構造も違っていることなどが、両者のギャップ拡大の主要原因になっているというのが一般的な見方である。
卸売物価と消費者物価のギャップと同様、日本の場合、フロ価格とストック価格のギャップも問題となっている。
言い換えると、卸売物価や消費者物価などの水準と、土地など資産価格の水準に大きなギャップが見られる問題である。
八〇年代後半の「バブル景気」で最もはっきり表れた現象である。
そのカギとなるのは、お金がどこに向かうか、という点である。
お金といっても個人の零細マネーでなく、マクロ経済のマネーサプライに対して、CPIにはタイムラグがあり、流通段階で吸収されることがある。
また、WPIは鉄鋼や化学製品など比較的生産性の高い原材料、中間財の比重が高いが、CPIは細かい消費財の比重が高く、これらは相対的に生産性の低い中小企業で生産されるものが多い。
また、WPIには製品流通などのサービス費はほとんど含まれていないが、CPIはサービス価格の比重が高い、などが指摘されている。
このため、WPIを構成する品目のうち、中間財のシェアは四〇%程度を占めるのに対し、最終消費財に関連するのは二〇%余りにすぎない。
逆に、CPIでは公共料金や生鮮品が全体の約五〇%を占めるが、これらはWPIに入っていない。
また、消費者物価だけでなく、資産価格の一方的な上昇も、住宅問題などさまざまな弊害をもたらすことがバブルで明確になったことから、政府も抑制に努めるようになった。
ライ(通貨供給量)である。
八七年度から九〇年度までの四年間、マネーサプライ残高は、低成長経済としては異例の二ケタ増を続けたが、この金のかなりの部分が土地や株に向かったのである。
これが商品などに向かえば、消費者物価などの上昇につながる。
したがって、マネーサプライの増減は、物価にとって重要な関連性があるので、日銀などは常に注意を払っていても景気と密接につながっているのである。
一般に、景気との関係で議論されるのは個々の企業の株価ではなく、東証の平均株価(日経平均株価)、または東証株価指数(TOP、X)である。
平均株価は昔から最も知られている指標で、東証一部市場に上場している約一三〇〇社のうち、優良企業一三五社を選び出し、その株価を加重平均したもの。
TOP、Xは一部上場の全一三〇〇社の株価を指数化したもので、平均株価より市場全景気が良い時は株価も上がり、景気が悪い時には株価も下がるのだが、実は、両者の間にはもう少し複雑な関係がある。
少し理論的な勉強をしてみよう。
株価はどうやって決まるのだろうか。
ひと言でいうと「株価は予想収益を金利で割った現在価値」と定義される。
別ないい方をすると、企業の稼ぐ利益が予想より多くなる、または、金利が下がると株価は上がり、逆に利益が予想より少なくなる、さらにまた、金利が上がると株価は下がるということになる。
ところが、企業収益や金利動向というのは景気に大きく左右されるから、その意味で株株価、景気の動きにどう先行する〜株価というのは、国内外の政治、経済、社会の森羅万象をビビッドに映し出す。
最もわかりやすいのは一時的な暴落である。
古くはスタリン暴落(一九五三年)に始まり、ニクソン・ショック(七一年)、ブラック・マンデー(八七年)、バブル崩壊(九〇年)、アジア通貨危機(九七年)など数多いが、先行不安で一時的に狼狽売りが殺到したものの、体の動きを反映しているが、指数なのでピンとこないきらいがある。
また、その日の株価(一部上場の終値)に発行済みの全株数をかけた時価総額、売買量を表す出来高なども、個別の株価や平均株価とともに毎日公表され、新聞などに詳しく掲載される。
事態の本質が見えるとすぐ回復した例も多い。
しかし、株価の最大の特徴は、景気動向を先取りする先行性であろう。
たとえば、不況期の株価の典型的な動きは、財政出動や公定歩合をはじめとする金融緩和への期待を織り込んで動く点にある。
不況対策がとられれば景気は良くなるから、不況時の株価の安い時に買いを入れ、対策が実施されて景気が良くなり、株価が上がった時に売れば儲かるわけだ。
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